左人差し指に細菌性のイボが出来た。直径5㎜以下の小さな小さなイボだ。痛くないし日常生活全く不自由はないが、放っておくとイボ自体は大きくならなくても根が段々と深くなるし細菌性だから他の指にうつるかも、と皮膚科の医師に言われた。2週間に一度、-200℃のスプレー式液体窒素を患部に吹きかける。中の細菌が死滅すればぽろりとイボが取れるらしい。液体窒素の治療は結構痛いわりには一向に取れる気配はなく、周りの皮が剝けるだけであった。むしろイボ自体はひと回り大きくなったような気さえする。
それとは別に左太ももの裏側の付け根に近い部分、つまりお尻の少し下にもイボがあった。こちらは直径1㎝以上で丸く膨らみがあり座ったりして下着が擦れると少しツカツカと痛い。同じ医師に診てもらったが、そちらは細菌性ではなく良性なので放置しても大丈夫だし自分はそもそも切開治療はやらないのだと言われた。
その皮膚科に通って一年が過ぎて考えた。
これって時間とお金の無駄じゃない❓
一年通院して指のこんなに小さいイボが痛い治療をしてもなかなか治らず、太もものイボは何気にこちらも大きくなっているような気がする。
そうこうするうちにコロナ禍ではあったが勤め先の近所に新しい皮膚科のクリニックが出来た。ネットによる完全予約制で手術室も完備しているという。セカンドオピニオン的な感覚でこの新しいクリニックの医師にイボを診てもらうことにした。
「指も太もものイボも本日中に一回で取れますよ。指の方は局部麻酔をしてレーザーで焼き取ります。こちらは自由診療になります。太ももの方はやはり局部麻酔をして切開します。少し縫合しますが一週間後に抜糸できます。こちらは保険診となります。いかがされますか?」
若い女医さんがテキパキと診断してくれた。早速施術してもらうことにした。指の麻酔はギョッとするほど痛かったが、それよりも自分が焦げる臭いの方が嫌だった。あっという間に終わり次はスカートを脱いで手術台の上でうつ伏せに寝る。施術が始まってしばらくすると
「眠り姫さん、思ったより根が深いので麻酔を足しますね。」
と医師が言う。またしばらくすると今度は看護師に声をかけた。
「ちょっとM先生呼んできて。」
M医師はすぐに来てくれて患部を見るなり
「僕が根っこを取るから傷口をしっかり開いて。」
と言う。施術時間が長く感じられたが、それから15分くらいで終了した。受付でお会計をすませると指のイボは自由診療で1万5千円、太もものイボは保険診療で3千8百円、併せて2万円弱である。液体窒素による指のイボの治療費は1回890円だが1年間2週間に一度通っていたので総治療費は2万円を超える。お金だけではなく時間という観点でも多種多様な治療方法を選べるクリニックを早く探すべきだったと情弱な自分を責める次第である。
健康のために多種多様な治療法が選べる状況にあることが一番大切で幸せなことだと思う。日本は未曽有の超高齢化社会に突入した。身体が動く限り働かねばならない。私も齢60歳を過ぎて今後は健康と美容に全BETしていく所存だ。