ちんどん屋さんに心躍るアラカン(around還暦)女子

ちんどん屋さんに心躍るアラカン(around還暦)女子

ねむり姫の昭和思い出話 ~ちんどん屋さん編~

2022/11/18

♫ プカプカ ドンドン テンテケテン~ ♫ 
さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃ~い! オープンセールのチラシをお配りいたします~! ご地域待望の大型スーパーマーケット、本日開店だよ~! 先着200名様にパンダどら焼き配りま~す!ご近所様お誘い合わせの上ご来店くださ~い!
♫ テンツクテンツク ステテコテン~ ♫
事務所で仕事をしていると軽快なちんどん太鼓とラッパの音色が聞こえてきた。通りの向こうから事務所のあるビルに賑やかな音楽が近づいてくる。近頃は録音したお囃子で宣伝自動車を走らせたりするが、今回は違う!幼い頃に慣れ親しんだ正真正銘、本物のちんどん屋さんだ。矢も楯もたまらず、こっそり席を外して廊下の窓から覗き見る。
Youtube広告で近所に有名スーパーが開店するのは知っていた。都内は少しでも大きな土地が空くとマンションやホテルが建つことがほとんどなので大型スーパーマーケットの出店は近年なかったことだ。インターネットを使わない高齢者の方も多いので下町の細い路地まで入って宣伝するとなると、ちょっとアナログだけどちんどん屋さんに廻ってもらうのも良い考えかもしれない。
すれ違う散歩途中の保育園児の皆さんが珍しそうに見ている。私も東京で何年ぶりに見たかはすぐに思い出せない。中部地方のとある地方都市で私は生まれ育った。子どもの頃、ちんどん屋さんは宣伝広告のプロフェッショナルとして地元に根付いていた。新装開店のパチンコ店、商店街の大売り出し、グランドキャバレーの大物演歌歌手歌謡ショー等々、ちらしを配りながら陽気に練り歩く。
私はちんどん屋さんたちには可愛がられた。幼い頃から日本舞踊とお囃子を習っていたので太鼓を打つ真似をして、くるくる回りながら後をついて行く。彼らは通常三人ひと組で行動することが多かった。ふたりが演奏してひとりが口上を述べながらチラシを配る。だから私は後をついて歩いてチラシを配る手伝いをした。そうすると三人とも演奏に集中できるので、より賑々しく練り歩くことができる。夕方までチラシを配る手伝いをすると大将がお駄賃を30円くれた。
私は小銭を握りしめて紙芝居を見に行く。1960年代後半、私の住んでいた地域では紙芝居は10円で、お金を支払った証しとして水飴を挟んだ煎餅をおじさんがくれた。残った20円で屋台のわらび餅を買う。茶色っぽい藁半紙をくるくると円錐形に巻いて(ソフトクリームのコーンくらいの大きさ)容器代わりにする。その中に小さい球形のわらび餅を10個くらい入れて上から砂糖の入った黄な粉をかけてもらう。その日稼いだお金はその日のうちに使う。家の大人たちに見つかったら面倒なことになるのは子ども心にわかっていたので証拠は残さないのだ。それにしても自分で稼いだお金で食べる駄菓子のおいしさと言ったら。。。🥰
そんなこんなで今でもちんどん屋さんを見かけると子どもの頃に戻って追いかけて行きたくなる。ちなみに少し調べてみたら「ちんどん屋さん派遣会社」なるものが全国にいくつかあるようだ。ある会社のホームページを見たら『新卒大歓迎』と書かれている。日本中どこも高齢化の大波が押し寄せているから、それはそうかも知れぬ。久し振りにワクワク出来て良かった。せっかくだから仕事帰りに新しくできたスーパーに寄ってみようかしら。
👑ねむり姫👑




匿名で質問やリクエストを送る

※登録・ログインなしで利用できます

メールアドレスだけでかんたん登録

  • 新着記事を受け取り見逃さない
  • 記事内容をそのままメールで読める
  • メール登録すると会員向け記事の閲覧も可能
あなたも Medy でニュースレターを投稿してみませんか?あなたも Medy でニュースレターを投稿してみませんか?