「ねむり姫さんはよく頬づえをつくでしょう?睡眠中の食いしばりが強い人は習慣として頬づえをついていることが多いですよね。」
新しく通い始めた歯科医院で院長先生に指摘された。
「頬づえをついていると自然に上下の奥歯が強く噛み合わさっている状態になります。つまり睡眠中に歯を食いしばっている人は昼間も無意識のうちに食いしばっていることが多いというわけです。これでは就寝時だけマウスピースを使っても歯の食いしばりは改善しません。」
医師からこめかみと顎関節を緩ませる口の体操とマッサージを教わる。確かに気が付くと私は頬づえをついている。いつからそういう習慣だったのかは思い出せない。つい頬に手を持っていきそうになると慌てて体操とマッサージを始める。何日かたつと嘘のようにこめかみのコリと緊張が弛緩し始めた。口を閉じていても上下の奥歯の間には隙間ができるようになった。
食いしばりが強い状態が長く続くと、歯を失う時期が早くなる。私なども60歳にしてすでに下の歯3本がインプラントである。かねてより長く通っていた地元の歯科医師より、
「次に上の歯を抜くときは、ねむり姫さんの場合上顎の骨が足りないのでインプラントはできません。上は入れ歯になりますからね。」
と言われていた。そしてこのたび、いよいよ上の歯を抜かなければならなくなった。人生100年時代と言われる昨今、60歳から入れ歯は辛い。実際、せっかく義歯を作ってもらっても違和感を感じて使わなくなってしまう人も多いそうだ。そうなるといよいよ口内の嚙み合わせに不具合が生じ、消化器官や認知機能にまで障害が及ぶという。
やはり入れ歯は嫌だなぁ。。。何とかならないかと『インプラント / 骨が足りない』などと入力してネットで検索してみる。そうして私のようなインプラント難民の駆け込み寺的存在の歯科・口腔外科医院を見つけて訪ねた際、院長先生に言われた言葉が冒頭の「頬づえ」の話である。
歯の食いしばりはインプラントにおいても大敵である。自分自身の歯のように遊びが無いから容赦なく咀嚼のときに自分の歯を打ちつける。人間の嚙む力は想像以上に強いのだ。60インチの大画面に映された私の口内の3D-CTデジタルレントゲン写真を見ながら院長先生が解説する。
「口内から上顎側面に穴を開けてセメントのように人口骨を流し込み、土台を作った上で人工歯根を植え付けます。ミリ単位の外科手術になりますので大学病院から口腔外科専門の麻酔科医を呼びます。その分料金は上乗せされますが、受ける価値はあると思いますよ。」
ちょっと手術を受けるのが怖い気もするが、これは大事な『老い支度』なのだ。私が今までにやってよかったと思う身体的な『老い支度』は下記記事でもすでに紹介している。お時間の許す方は是非お読みいただきたい。特に眼科と歯科については高齢期の健康そして行動にも如実に結果が表れるので、皆様にも定期的に検査を受けることをおすすめする。
というわけで今年は歯の治療に重きをおいて暮らしていこうと思うので、(なにやら昔そんなタイトルの映画があった気もするが)とにかく「もう、頬づえはつかない」のだ❣
👑ねむり姫👑